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関西プラッと便 伏見酒蔵めぐり

関西プラッと便

2014年1月10日掲載

  底冷えする冬の京都は、凜とした風情があります。でも、寒くて、町歩きはおっくうだという人に、お勧めのスポットが酒蔵の町・伏見めぐりです。古い酒蔵を活用した館もあり、ぐいっと、一杯、傾けることができます。日本酒と名水、幕末の歴史に彩られた町並みを散策するのも、おつなものです。

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■酒どころを育んだ名水の町
  伏見は灘(兵庫県)と並ぶ酒どころ。もともとは「伏水(ふしみず)」という文字が当てられており、字が示す通り、豊かな伏流水に恵まれています。この水と京都盆地特有の冬の寒暖差が酒造りの伝統を育みました。
  界隈には(1)勝ち運を授ける藤森神社の「不二の水」(2)清和荘「清和の井」(3)城南宮「菊水若水」(4)キンシ正宗「常磐井水(ときわいのみず)」(5)大黒寺「金運清水(きんうんしみず)」(6)御香宮神社「御香水(ごこうすい)」(7)乃木神社「勝水」(8)鳥せい本店「白菊水」(9)キザクラカッパカントリー「伏水」(10)月桂冠大倉記念館「さかみづ」(11)長建寺「閼伽水(あかすい)」の11か所の名水を巡るコースがあります。約12キロあり、休まずに歩くと3時間20分ほどですが、休憩したり、見学したりするとまる一日、楽しめます。
  ウオーキングもいいですが、伏見は何といっても酒どころ。日本酒を味わいたいので、今回は御香宮神社から歩くコースを選びました。最寄りの駅は、近鉄京都線・桃山御陵前、京阪本線・伏見桃山、JR奈良線・桃山です。桃山御陵前駅から東へ約100メートル歩くと御香宮神社です。ここの名水は、平安時代・貞観4年(862)に境内から水が湧き出て、その香りが漂い、飲むと病気の人もたちどころに治ったと伝えられます。この霊水を飲もうとペットボトルを持って訪れる人もいます。現在は環境省「名水百選」にも選ばれています。

■幕末の歴史が身近に迫る町並み
  御香宮神社は、伏見鳥羽の戦いで、薩摩・長州軍がここに陣取り、新撰組や会津・桑名藩を主力とする幕府軍とにらみ合った地としても知られています。少し、西には料亭「魚三楼」があります。鳥羽伏見の戦いの際、薩摩軍の台所番をつとめていた所で、店の表格子には、今も新撰組と戦った時の銃痕が生々しく残っています。携帯電話のカメラで格子を撮影していた観光客は「近くで見ると、幕末の舞台に立ったような気持ちになりますね」と驚いていました。
  伏見には、ほかにも▽会津藩が陣を置いた伏見御堂▽伏見土佐藩邸跡▽伏見長州藩邸跡▽伏見薩摩藩邸跡▽坂本龍馬が襲撃された寺田屋▽龍馬避難の材木小屋跡▽新撰組の近藤勇ゆかりの清和荘▽伏見口激戦地跡などが点在します。これらを訪ねる「龍馬が愛した幕末の京都伏見石碑めぐりウオーキングコース」も提案され、歴女や龍馬ファンに人気です。

■平成によみがえった「竜馬通り商店街」
  魚三楼からさらに、西へ進みます。近鉄、京阪の両線の線路を渡って、大手筋商店街のアーケードを抜けて、南へ曲がると、「竜馬通り商店街」へ入ります。もともとは「南納屋町商店街」でしたが、平成に今の名前に変わりました。人がやっとすれ違えるほどの狭い石畳の通りですが、木の格子、白壁、杉の焼き板の町家が軒を連ねています。街灯もガス灯風に整えて、レトロな雰囲気が素敵です。
  通りでは「龍馬寿司」を売っている店がありました。龍馬が好んだという土佐の皿鉢料理を京風にアレンジしたサバ寿司です。一口頬張ると、クセになるうまさです。龍馬襲撃の舞台になった「寺田屋」近くにある「龍馬館」では様々な幕末グッズが並んでいます。

■心を癒やされる酒蔵の館で、一杯!
  竜馬通りを抜け、東に折れると、いよいよ酒蔵の町になります。NPO法人伏見観光協会事務局長の中川雄介さんによると、「冬場の早朝には、酒蔵から蒸気が立ち、ほんのりと酒の香りが漂うこともある」そうです。ほのかな香りからも酒蔵の町の風情が漂います。
  まずは、大正8年(1919)に建てられた月桂冠株式会社旧本店社屋を活用した喫茶所「伏見夢百衆」(TEL:075・623・1360)をのぞきました。ここでは、伏見の清酒17蔵元の日本酒約100種類を並べています。寒い町中を歩いてきたので、早速、一杯! 酒カステラ、酒饅頭、酒かすドレッシングなど酒どころならではの土産も販売しています。ここは案内所にもなっています。スタッフは「気楽に立ち寄ってください。伏見の見どころを紹介します」と気さくに話しかけてくれました。
  ここから、南へ1、2分、足を延ばすと「月桂冠大倉記念館」があります。明治期の酒蔵を資料館にし、昔の酒造用具を展示しています。酒造工程の一部を見学(要予約。TEL:075・623・2056)でき、利き酒も楽しめます。
  黄桜株式会社の資料館「黄桜記念館」(TEL:075・661・9921)も一見の価値があります。面白いのは黄桜のキャラクター、カッパにちなんだコーナーです。カッパのお守り、絵馬をはじめ、全国のカッパ伝説がパネル展示されています。展示を見終わった後は、同じ敷地内に併設した「キザクラカッパカントリー」へ。日本酒のほかにも、作りたての地ビールも飲めます。
  周辺には、株式会社山本本家の酒蔵を改装した「鳥せい本店」(TEL:075・622・5533)もあります。おいしい鳥料理と生原酒も楽しめます。月桂冠の酒蔵を改装した「月の蔵人」(TEL:075・623・4630)も人気です。ここは伏見の名水で作った豆腐が有名です。
  日本酒でほっこりと温まったところで、再び、伏見のまちかでへ。龍馬とお龍が日本最初の新婚旅行で九州へ行く途中、大阪湾へ向かう船着き場が宇治川派流で、寒風に当たりながら、「日本の夜明け」に思いをはせました。
  ※施設は休日もあります。事前に確認してください。

〈十石舟、三十石船〉
  海のない京都ですが、伏見は宇治川の水運を利用した港町として栄えました。龍馬襲撃事件の舞台となった寺田屋は船宿です。龍馬はお龍とともに、三十石船に乗って淀川を下って、九州へ旅立ちました。淀川を就航した三十石船は落語「三十石」や浪曲「森の石松代参詣り」でも有名です。  1998年に宇治川派流をめぐる「十石舟」が復活。大型の三十石船とともに、伏見観光の名物になっています。現在はNPO伏見観光協会(TEL:075・623・1030)が運営しています。運行期間は4月1日~11月30日。約55分で宇治川派流の水路をめぐります。春の桜吹雪、夏の深緑、そして秋景色……。自然の移ろいは圧巻です。

〈伏見銘酒協同組合 酒蔵開き〉
  1月19日(日)、2月23日(日)の午前11時~午後3時、「鳥せい本店」近くの伏見銘酒協同組合で。株式会社山本本家、株式会社豊澤本店、鶴正酒造株式会社、平和酒造合資会社の4蔵元が開催。搾りたての新酒と限定大吟醸酒が飲めます。
問い合わせはメールで。fushimi@leto.eonet.ne.jp

〈伏見の清酒きき酒会〉
  3月21日(春分の日)午前9時30分~午後4時、御香宮神社(TEL:075・611・0559)と伏見夢百衆(TEL:075・623・1360)で。きき酒参加料千円(チケット事前購入制)、定員750人。取り扱いは御香宮神社、伏見夢百衆などで

〈日本酒の種類と特徴〉
  【吟醸酒】4割以上精白した米(精米歩合6割以下)を使用し、低温でゆっくり、発酵させた醸造酒。精米歩合5割以下の米を使ったのが「大吟醸酒」。米・米麹・水だけで造ったものを「純米吟醸(大吟醸)酒」といいます。
  【純米酒】米と米麹で造ったお酒。
  【本醸造酒】3割以上精白した米と米麹、少量のアルコールを原料にしています。
  【生酒】もろみを搾った後、一切加熱しない、搾りたてのお酒。生貯蔵酒は生酒の状態で保存し、出荷前に一度だけ熱処理しています。
ほかにも、「原酒」「古酒(長期貯蔵酒)」「にごり酒」などがあります。
  ※伏見酒造組合発行の「伏見清酒紀行」を参考にしました。

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